缶詰とりわけサバ缶が注目されている。しかも水煮缶即ちサバと食塩だけのシンプルな形態の商品が売れている。その人気の背景を探ってみると次の8つのワケがある。
その原料といえば、ここ10年サバ類の国内漁獲高は年間40~50万トンと安定しているのと、漁獲が落ちれば北欧から輸入されことから、原料価格が安定していることがあげられる。それゆえ、サバ缶の標準的なサイズ2号缶(内容量190g)の小売価格は24缶入り1ケース2,943円(税込)、単価は123円と手ごろとなっていて、サバの干物の単価(190g換算)290円と比べても断然安い。
近年の鯖缶の特徴といえば、原料の鮮度管理、冷凍保管管理が抜群によくなっていて、かつてのような油の傷んだ味やにおいがしないこと、また塩分が1%以下(0.9%が心地よい適量といわれる)と絶妙な塩加減になってきていることがあげられる。こうなると、サバ特有の生臭さが薄らいで、魚嫌いにも抵抗なく受け入れられる。醤油を数滴かけまわせば、それはむしろ美味といっても過言ではない。
サバは鮮度落ちが早く、油焼けも進みやすいため、かつてはサバ缶も味噌や醤油で濃い味付け加工して初めて受け入れられた。ちなみに発酵調味料は魚臭をマスキング(抑臭)する効果が認められている。しかし、高品質サバを水煮缶に利用できるようになると、強い魚臭もなく、ツナ缶同様サラダ用、コロッケやその他の調理用としても調理の応用範囲が広がってくる。
また、EPAやDHAといった魚油に含まれる脂肪酸のヒトの健康への有用性が広く認知されるようになって、マグロやサケなど高級魚に頼らなくともイワシやサバからも安価に摂取できることが知られるようになったことが挙げられる。そのうえ空気酸化しやすいこれらEPA、DHAが缶詰という真空パック技術で保存されることもありがたい。サバ缶はもはやサプリメント級である。
また、焼きサバ、みそ煮や干物を食べるときには、箸で骨を除くのが普通であるのに対し、缶詰では肉のみならず、皮や骨まで丸ごと食べてしまう。骨は良質なカルシウム源であり、これまた日本人の食事に不足している栄養素である。
つまり、最近のサバ缶は高品質のうえEPA・DHA、カルシウムリッチで高たんぱく・低塩分なたんぱく質食品であり、そのうえ今どき一缶123円と低価格なのだから、どんどん利用しない手はない。(2018.5.28.)