ポリリン酸ナトリウム

6-7月には食品添加物の功罪について複数の週刊誌が取り上げた。そのなかでは特にトランス脂肪酸とポリリン酸ナトリウムがやり玉に挙がった。

ポリリン酸ナトリウムはハム・ソーセージなど食肉製品、かまぼこなどの魚肉加工品の製造には不可欠の食品添加物となっている。

では、なぜポリリン酸ナトリウムが人体に悪影響があると騒がれのだろうか。

ポリリン酸ナトリウム(PP-Na)は摂取後、胃酸によってポリリン酸基(PP)とナトリウムイオン(Na)に乖離し、その後腸内では選択的にNaではなく、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)と結びつき、これらミネラルは体外に排出される。つまり、カルシウム、鉄、亜鉛といった有用ミネラルの吸収を阻害するため悪役視される。

厚生労働省は定期的にスーパーマーケットなどから食品を購入し、その中に含まれている食品添加物量を分析し、その結果に国民栄養調査に基づく食品の喫食量を乗じて食品添加物の摂取量を求めている。このマーケットバスケット方式と称される方式により安全性を確認している。最近の調査結果では、ポリリン酸塩の一人一日当たり摂取許容量基準(ADI)4,102mgに対し、摂取量は265.6mgと、ADIの6%と低いレベルにあり、安全性上問題ないことが確認されている。

つまり、ポリリン酸が若干の有用ミネラルの体外排泄に関係するといっても、それは我われが種々の食品から摂取する有用ミネラルの量に比べ、結果的に非常に微量であるゆえ、ミネラル不足による健康への影響は無視できるといえる。(2018.8.15.)